1.稲盛経営が世界で通用する理由
稲盛和夫氏の「人の心を大切にする」などの経営哲学は、世界でも大きな支持を得ているが、業績や成果の経営数字を判断基準とする合理的な経営とは相容れないようにも思われる。稲盛氏のケースを執筆した筆者によれば、稲盛経営はグローバルな経営においても十分応用可能なものだという。ただし、強靭なリスク耐性と従業員に対する揺るぎない信頼が必要だと指摘する。


2.先達から学び、志を継ぐ
できるかどうかではなく、どうあるべきかが指針──。電気通信事業への参入をはじめ、稲盛和夫氏の経営哲学にはそれが一貫している。日本の技術を世界に伝えるために奮闘し、電動バイクで国内シェア・ナンバーワンを獲得したテラモーターズ代表取締役社長の徳重徹氏が、ベンチャー起業家から見る稲盛経営の魅力と、先達の志を後世に伝える意義を論じる。


3.JAL再生で貫かれた経営の原理原則
2009年9月、当時の前原誠司国土交通相の要請の下、弁護士の高木新二郎氏をリーダーとする「JAL再生タスクフォース」が結成された。その際、JALの新トップとして稲盛和夫氏に白羽の矢が立った。その後、同社が一気にV字回復を遂げたことは周知の通りである。なぜ、稲盛氏が選ばれたのか。その理由をひも解くと、経営者に欠かせざる条件が浮かび上がってくる。


4.事業の基本は、利他の精神
1983年、京都の25人の若手経営者が稲盛経営を学ぼうと始めた自主的な勉強会が発端。いまや盛和塾は9000名を超える経営者が集う。ここから輩出された経営者の一人が、元LINE社長でC CHANNELを創業した森川亮氏である。インターネットという変化を余儀なくされる業界を主戦場としてきた森川氏は、変わらない経営の本質を稲盛氏から学んだと言う。


5.会計学から見るアメーバ経営
稲盛和夫氏が生み出したアメーバ経営には会計学の視点から分析すると、大きく5つの特徴がある。本稿では京セラの事例を中心に、アメーバ経営が経営管理システムとしてうまく機能しているのはなぜなのか、そして、他の企業にも適用できる可能性はあるのか考えていく。