※ハーバード・ビジネス・レビュー編集部注(2023年8月4日):本稿は、撤回された学術論文を参照しています。

CEOであれ、第一線の社員であれ、会社では誰もが間違いを犯す。この間違いを正すため、行動経済学の知見が役に立つ場合がある。本稿では、まずシステム1とシステム2という意思決定のモードに対する理解を深め、意思決定の問題の性質と原因を見極める。それが行動に由来する場合、行動経済の手法を使った意思決定を再設計する方法を解説する。さらにこの解決策を十分にテストすることも大切だと指摘している。

意思決定の過ちを防ぐために

 CEOから現場の労働者まで、会社では誰もが防げるはずの間違いを犯す。課題を完了させるのにかかる時間を少なく見積もったり、計画立案の不備を示す情報を見逃したり無視したり、得になる福利厚生制度を活用しなかったり──。こうしたミスを招かないよう、脳を配線し直して思考パターンを一新するのは、極めて難しい。しかし、もう一つ別の方法がある。意思決定を下す環境を変えることで、よい結果を生む選択を促すのだ。