ジェットブルー航空(JetBlue Airways):感謝と奉仕の企業文化
DHL(DHL International):サッカーで結束するグローバル企業
サウスウエスト航空(Southwest Airlines):従業員に投資する経営
コンチネンタル航空(Continental Airlines):社員のやる気を引き出すボーナス制度
SASインスティテュート(SAS Institutes):クリエイティブ資本のマネジメント
フェラーリ(Ferrari):「創造性開発」トレーニング
ポルシェ(Dr. Ing. h. c. F. Porsche):インターンシップで製品開発を加速する
BP(BP):全世界1万人企業の現場マネジャー改造計画
トリロジー・エンタープライゼス(Trilogy Enterprises):新入社員を即戦力化する企業内大学プログラム
エンタープライズ・レンタカー(Enterprise Rent-A-Car):顧客満足度で社員を評価する
コストコ(Costco Wholesale):従業員満足が生産性を高める
ワワ(Wawa):従業員は「生きたブランド」である
フリート・バンク(Fleet Bank):二人三脚のワーク・ライフ・バランス

ジェットブルー航空(JetBlue Airways)
感謝と奉仕の企業文化

デイビッド・ニールマン(David Neeleman)
ジェットブルー航空 会長

ジェットブルー航空は2000年の創業以来、収益を伸ばし続けてきた。その秘訣は、社員に「奉仕する」気持ちを芽生えさせ、ハイタッチの顧客サービスを実現する、堅実な企業文化にある。

JetBlue Airways
元サウスウエスト航空出身者によって1998年7月に設立された、アメリカの格安航空会社。需要の多い路線のフライトに限定するほか、座席販売や運行などのIT管理によって低コストかつ生産性の高いビジネスモデルを実現。快適かつ高水準の機内サービスに定評がある。

ジェットブルーの成功はニールマンの原体験にある

 ジェットブルー航空は創業4年にして売上げを3倍にする勢いで成長した。賢いコスト削減と同様に重要なのは、顧客と社員のロイヤルティを大切にする堅実な企業文化であろう。

 本稿では、ジェットブルーの創業者であり、前CEOのデイビッド・ニールマンに同社の社風について、また日々それがどのように生かされているのかを聞いた。

デイジー・ウェイドマン[注](以下色文字):ジェットブルーの平等主義という社風はどこから生まれたのですか。

ニールマン(以下略):私の人生観と会社の経営方針は、20年以上前の出来事に影響を色濃く受けています。私は、高校時代を通じて目立たない生徒でした。ユタ大学での1年が終わった頃、教会の伝道グループに参加し、ブラジルのスラム、ファベラに住んで働くことになりました。父がジャーナリストでしたので、私たち家族は、私が5歳までブラジルに暮らしていたことがあり、それ以後も夏には何回か訪れていました。

 ブラジルという国は「持つ者」と「持たざる者」とに二分されており、父と暮らした時代は豪邸やカントリー・クラブといった裕福な面しか知りませんでした。しかし、布教で訪れた時には、絶望的な貧困にあえぐ人たちと共に、鉄条網の反対側にいる自分に突然気づいたのです。そこは、一日歩き回っただけでいつの間にか靴が人糞臭くなるような所でした。