アクセンチュアが2015年に実施した「グローバル消費者調査」によると、とくに日本で、製品・サービスに執着がなく、よく検討せずに購入する「無関心な消費者」が増えていることが明らかになった。こうした新タイプの消費者に従来からのマーケティングは通用しない。そこで、なぜ無関心化する消費者が増えているのか、日本企業はどのようなアプローチを目指すべきか、さらに有望な分野はどこかなどを聞いた。
嗜好性の高い消費財や家電も
あまり考えず購入するように

アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
マネジング・ディレクター
東京大学工学部卒業。都市銀行勤務を経て1999年アクセンチュア入社。主に事業戦略、M&A戦略、マーケティング戦略の領域において、通信、ハイテク、小売り、消費財メーカーなど幅広い業界のコンサルティングに従事。
――「グローバル消費者調査」は今年で11年目になるそうですが、まずはその内容を教えてください。
今回の「グローバル消費者調査2015」は、2015年8~9月にかけて、世界33ヵ国およそ2万5000人(うち日本は1300人)を対象に行いました。アンケートの対象サービスは、ユーティリティ(ガス/電気)、携帯・固定通信、ケーブル/衛星放送、消費財小売、家電、ヘルスケア、ホテル、銀行/金融サービス、生命・損害保険の11業種です。
今回は、(1)デジタルは消費者の購買活動をどのように変化させたか、(2)製品・サービスに消費者はどれだけのこだわりを持っているか、(3)企業の顧客応対はロイヤリティにどのような影響を及ぼしているか――の3点から分析しています。
――調査結果の最大の特徴は何でしょうか。
「無関心化する消費者」の増加です。日本をはじめとする先進国では、徐々に製品・サービスに対するこだわりや執着がなくなってきていて、購入前に情報収集や比較検討を行わない消費者が無視できないくらい多くなっています。この現象は、とくに日本で顕著ですね。「製品・サービスについて購入前によく検討しますか?」という問いに対し、「検討しない」と答えた割合が日本は58%にも上ります。これに対して米国は51%、新興国の中国・インドは30%台です。

この日本の傾向は、消費財や家電、ホテルといった従来、慎重に比較検討していた嗜好性の高い製品・サービスでも同じ。すべての業種で消費者は製品・サービスへの興味を失い、入念な検討を行わなくなってきています。
