脳の3層構造が習慣形成を阻む

 ある修道院の教育係は、新人の修道女が入るたびにこう尋ねるという。「なぜ私たちは祈るのでしょうか」と。この素朴な問いに新人たちは「神様に近づくため」や「気持ちが穏やかになるから」などさまざまな答えを出す。ところが、教育係はそのすべてを否定し、こう諭すという。

「私たちが祈る理由は一つしかありません。それは、祈りを告げる鐘が鳴るからです」

 この逸話は「習慣とは何か」を雄弁に物語っている。つまり、鐘が鳴るなどのきっかけに対して、ある行動をした結果、癒されるなどの報酬が得られること。きっかけ→行動→報酬。この単純なループが習慣の正体である。