-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
人事施策の新潮流
データアナリティクスの専門家、ジョンを紹介しよう。彼は、数学とソフトウェア開発の技能を兼ね備えた、稀有な人材である。履歴書には、修士号を2つ、いずれも優等の成績で取得したとある。テクノロジー企業にとって、ぜひとも採用したい人材であること請け合いだ。
ところが、最近までは事情が違った。ジョンは、従来とは異なる人材方針を試行導入した企業とめぐり合うまで、2年以上も就職先が決まらずにいたのである。それ以前に門戸を叩いた諸企業は、ジョンが持つスキルを喉から手が出るほど求めていたにもかかわらず、採用には踏み切らなかった。
ジョンの様子をしばらく見ると、その理由がわかってくるはずである。彼は風変わりな印象を与えるのだ。ヘッドホンを片時も外さず、話しかけられても相手と目を合わせようとしない。靴紐が緩んでいると気もそぞろになるため、10分おきぐらいに前かがみになって結び直す。ところが、靴紐がしっかり結ばれている間は、部内の誰よりも高い生産性を発揮する。仕事熱心でけっして休憩を取ろうとしない。「バディ」(会社が指名した職場での相方)による説得を受けて、ようやく休憩を取るようになったが、楽しんではいない。