マネジャーに不可欠な
データ可視化の能力

 最近まで、データ可視化の優れた能力は、あればそれに越したことはないスキルだった。その恩恵を受けるのは、そうした能力の習得に投資しようと決意するデザイン志向またはデータ志向のマネジャーが大部分だった。だが、いまはそうではない。ビジュアル・コミュニケーションは、すべてのマネジャーにとって、なくてはならないスキルである。なぜなら、その方法でしか自分の仕事を理解できないケースが多くなっているからだ。

 この変化を主に推し進めているのが、データである。意思決定はますますデータに頼るようになっているが、それは圧倒的なスピードやボリュームを持つため、視覚化などの抽象化プロセスなしには理解できない。

 典型例を挙げよう。ボーイングでオスプレイ・プログラムを担当するマネジャーは、この輸送機の離着陸の効率を向上させなければならない。ただし、離着陸のたびに、オスプレイのセンサーはテラバイト規模のデータを生成する。10回の離着陸で、米国議会図書館の蔵書並みのデータが生み出されるのだ。視覚化しなければ、データのパターンや異常の中に隠された効率の悪さを検知することはできないだろう。