従業員をプロセスへと巻き込み
「経験価値」をデザインする

 従業員主体のプロジェクトでビジョンやバリューの言葉をつくりあげる、企業ビジョンや戦略を一人一人の個人ビジョンと接続するワークショップを実施する、などさまざまな機会を設け、自分ごと化を促していきます。

 従業員も多様化する中で、全員に一律のコミュニケーションや、同質的・画一的な一体感醸成は通用しなくなっています。マネジメント層やエバンジェリスト層などのセグメントで分け、ターゲットごとに、どう巻き込み、そのプロセスを通じてどんな価値ある経験をしてもらいたいかの設計が必要です。そして従業員のエンゲージメント調査やNPS調査などの実施・分析によって状態目標やKPI目標を設定し、変化を見ながらPDCAを回していきます。中長期的な視野で取り組む必要はありますが、続ければ必ず変化が生まれ広がっていきます。

 ある技術者専門会社で、社員総会用にエンジニアのインタビュー映像を作った時のことです。最初は「エンジニアは話すのが苦手なので」と断られました。実際、当初はこちらが話を引き出す感じだったのですが、同様の施策を3年続けた後には、エンジニアの方々が数千人の前で堂々とディスカッションできるまでに進化していました。自己表現の機会とその経験が、そのエンジニア自身の進化のきっかけとなり、また映像を見た他のエンジニアたちの意識をも変えていったのです。

 スタンスやナレッジを共有する表彰の折でも、社内報などの情報共有においても、現場の積極的な参加や主体的な発信を増やしていく仕掛けや運用体制をいかに組み込めるか。その際、我々のような第三者の客観的な視点が、プラットフォーム構築では大事だと感じます。ときには我々がお客様先に常駐し、広報事務局としてお手伝いすることもあります。一緒にやっていく中で、担当の方が自社の仕事の価値にあらためて気づかれ、自身がエバンジェリストとして、あるいは社内をつなぐハブとして大活躍される、そんな変化が生まれたときは嬉しいですね。