短い動画を好み
日本人は出てくる広告は気にしない
――動画配信サービスについては、調査結果を見ると無料オンライン動画が地上波と同程度の利用率になり、日本企業にとっても無視できない存在になっていますね。どのような動画が人気ですか。
長いものになればなるほど閲覧率・拘束率は下がっています。とくに若年層は短尺もの、3~8分くらいのコンテンツを好んで視聴しています(図表5)。

デジタルネイティブ、ミレニアル世代は非常にわがままで金銭感覚もシビアで、「見たい番組を見たい所だけ視聴する」「見たい所だけお金を払いたい」という傾向があります(図表6)。一方で、動画視聴時の広告を消すための有料サービスに関しては、日本は世界に比べて使う人がやや少ないのが特徴です。日本人には「無料動画に広告はつきもの」「あまり気にならない」という感覚があるのかもしれません。

――動画配信関連ではどのようなビジネスが考えられますか。
これらの傾向より、3~8分程度の動画配信サービスに広告を組み合わせるビジネス注目しております。課題は、ユーザーごとにどれだけパーソナライズしたプログラムを提供できるか。大手のネット動画配信サービスも、一人ひとりに合わせたメッセージを発信するパーソナライズの機能に力を入れています。
日本の自動運転車は
BtoB市場から普及していく
――自動運転に関しては、調査結果によると「ユーザーの不安感はなく、むしろ期待が大きい」ようですね。
グローバル調査ではそうですが、ビジネス観点で注目したいのは、米国と日本とではユーザーを取り巻く環境が大きく異なることです。米国では通勤にクルマが欠かせず、その移動時間を別の時間に変えることができれば大きな市場になる可能性があります。しかし、日本はアメリカに比べ電車通勤の割合多く、アメリカほどの大きな市場は期待できません。
実際、「自動運転機能にいくらまで出せるか」という日本の消費者調査を見ると、金銭的評価は低く、「50万円程度しかプレミアムを支払う意向を持っていない」ことが明らかになっています(図表7)。

これでは、大きな開発投資かかる自動車メーカーの視点では魅力的とは言えません。そうなると、少なくとも日本においては、自動運転車はライドシェアなどBtoB市場も合わせて着目していく必要があると感じております。