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※本稿は「所得不平等の構造」の内容を基に構成されています。
競争は激化していない、
むしろ減退している
企業幹部の間では、「競争は数十年前より激化している」と自明の理のように考えられている。テクノロジーの影響で参入障壁が低下し、グローバル取引によって世界中の企業が競争相手になり、数十億ドル規模の「ユニコーン」企業(非上場のベンチャー)の数が日ごとに増えているように思われる。
ところが、オバマ政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたジェイソン・ファーマンは、経済が抱える問題は競争の過多ではなく、むしろ不足であると説く。ファーマンは2015年に発表したピーター・オルザグとの共著論文で、競争の減退により、少数の既存企業が圧倒的な市場支配力をいっそう強める結果が生まれていると示唆した。これは超過利潤(レント)(競争市場において通常得られる水準を超えた利潤)の増加を意味した。