チームの多様性を活かせない理由

「組織は、チームから必要な成果を引き出せていない」。こうした言葉は、戦略プランニングから変革マネジメントに至るまで、各種の複雑な課題と格闘するクライアントの多くから発せられる。しかし、筆者らの調査によると、非は往々にして、チームメンバーにあるのではない。むしろ、多様な仕事の仕方や視点をうまく活かせないリーダーにこそ問題があり、この傾向は最上層部にさえ見られる。

 マネジャーの中には、部下間の違いがどれほど大きいか気づかない人がいる。あるいは、チーム内の溝や緊張関係にどう対処すればよいかわからなかったり、対処を怠った場合に何が失われるかを理解していなかったりする。この結果、秀逸なアイデアが聞き入れられない、もしくは実現しないことになり、業績に悪影響が及ぶ。

 デロイトは、このような失われた価値を取り戻す一助として、「ビジネス・ケミストリー」という名のシステムを開発した。これは、職場での流儀をもとに人材を4タイプに分けて、共通目標を達成するには各タイプにどう接すべきかについて、戦略を探り出すための仕組みである。従来の性格テストは、職場向けにつくられたものではないうえ、本人の内省に頼りすぎているため、有用ではない。