ゲイツからの成功を否定し
ビジネスモデルを大転換

編集部(以下色文字):マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは昨年(2017年)、「モバイルファースト、クラウドファースト」に代わり「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」という新たな世界観を掲げました。この転換には、どのような目的があったのでしょうか。

平野(以下略):それを説明するには、ビル・ゲイツの時代からの変遷をお話しする必要があります。

 ゲイツは、いまのようなパーソナルデバイスが存在しなかった時代、「すべての家庭とデスクに1台のコンピュータを」というミッションを掲げて、その世界の実現を目指して会社を興しました。そして、ゲイツの戦略は市場に受け入れられ、マイクロソフトはデジタルの大衆化に大きな役割を果たしました。その後も成長を続け、Windows(ウィンドウズ)テクノロジーをベースに、PCというパーソナルデバイスを基軸とするビジネスモデルを確立しました。