ビル・ゲイツが創業し、WindowsやOfficeなど現代のビジネスに必要不可欠な製品を世に送り出してきたマイクロソフト。だが、その成功モデルがあまりに完成されていたがゆえに、時代の急速な変化に対応し切れず、2000年代後半には新しいテクノロジー分野で他社に先行を許すケースもあった。そうした中、サティア・ナデラ新CEOの圧倒的リーダーシップの下、ソフトウェアのライセンス販売モデルを変革し、クラウドビジネスへの大転換を図ったことで、同社は生まれ変わった。本稿では、日本のトップとしてその変革を支えている平野拓也氏により、マイクロソフトがAI/クラウド時代のプラットフォーマーとして何をすべきなのかが語られる。

ゲイツからの成功を否定し
ビジネスモデルを大転換

編集部(以下色文字):マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは昨年(2017年)、「モバイルファースト、クラウドファースト」に代わり「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」という新たな世界観を掲げました。この転換には、どのような目的があったのでしょうか。

平野(以下略):それを説明するには、ビル・ゲイツの時代からの変遷をお話しする必要があります。