IBMでの知られざるガースナー改革の一つに、「エマージング・ビジネス・オポチュニティ」(EBO)という試みがある。これは、文字どおり、新規事業のチャンスを開拓するものだ。伝統的大企業では、言うまでもなく新規事業の立ち上げは難しい。しかし、もはやリストラやコスト削減だけでは追いつかず、新規事業を創出・育成することが急務である。本稿では、新規事業につきものである新旧の対立、すなわち「試行錯誤と規律」「経験とイノベーション」「独立性と統合」のバランスに着目し、組織学習の見地から新規事業を成功させるコツを明らかにすると共に、そのベスト・プラクティスであるIBMのEBOについて紹介する。