いまや人事部にもデータスキルが不可欠だが、データ分析に対する理解が乏しいだけでなく、それ自体に否定的な感情を抱く人も少なくない。企業はこの課題にどう向き合えばよいのだろうか。筆者らは、新たにどんな人材を採用すべきか、既存のスタッフをどう育成すべきか、という2つの視点から解決策を提示する。

 データ分析に長けた組織文化をつくるには、従業員のマインドセットを育てる必要がある。それには、人事部における分析的な文化づくりが出発点となる。

 では、そうした分析的に思考する文化を醸成するには、組織幹部は何をすればよいのだろうか。まず、人事部内の多様な分析レベルの現状を把握する必要がある。そのうえで、それぞれのレベルに必要な専門家の雇用や専門知識を構築する方法を決断するとよい。

人事スタッフが持つ
データ分析スキルのレベルを把握する

 我々が共著The Power of People(未訳)を執筆するに当たり実施した調査で、現状の分析能力レベルに応じて、人事スタッフを大まかに以下の3つのいずれかに分類できることが明らかになった。

・データ分析に精通:分析技術に関して正式に教育を受け、データ処理や分析データの解釈に精通した人事のプロ。
・データ分析に積極的:データ分析に関する正式な教育は受けていないが、分析に対して柔軟で、学ぶ意欲や能力、積極性がある。
・データ分析に消極的:データに基づく手法の価値に懐疑的かつ否定的で、むしろ直感に頼ろうとする。

 人事部におけるデータ分析の浸透度は、採用時に特定のスキルの有無を確認したか、学習機会への取り組み結果を追跡調査しているか、によって測定できる。チーム内の分析レベルと専門技能を把握したうえで、各種の人事のプロを採用・育成する方法を決めるとよい。