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いまや自分一人の力で完結できる仕事など、ほとんどない。チームで仕事をするメリットに目が向けられることは多いが、過度のストレスによってメンバーの心身の健康が損なわれ、生産性が低下したり、離職率が上昇したりという結果を招くこともある。マネジャーも従業員も、チームワークの「負の側面」を理解して、積極的に対処することが必要だ。


 今日、ほとんどの仕事はチームで行われる。チームワークは革新的なアイデアや好成績へとつながる一方、ストレスになることもある。対立が起きる、互いに依存しすぎる、チームの功績に対して正当な分け前をもらえない人が出る──。チームをうまく稼働させるには、多大な調整コストがかかる。

 だがこれまでの研究では、チームワークがどれだけストレスになるか、そのストレスはどこから生じやすいのかについて、多くは語られてこなかった。

 私は、チームワークが従業員の心身の健康に与える影響を調べ、多くのストレスの原因は、マネジャーが従業員に課すプレッシャーであることを突き止めた。ある程度のプレッシャーは従業員に最大限の能力を発揮させるために必要とはいえ、チームを追い詰めすぎると、成績の低下、生産性の低下、離職率の上昇など大きな問題を引き起こす。

 私は、英国企業のそれぞれ異なる職場を率いるマネジャー664名に対面による構造化インタビューを実施し、データを分析した(全従業員が正式に指定されたチームで働く職場を対象としている)。

 マネジャーには自分の職場で、チームメンバーがどれだけ相互依存しながら仕事をしているか、仕事の進め方についてメンバーが共同で意思決定しているかどうかなど、チームワークがどう機能しているかを話してもらった。また同じ業界の他の職場に比べて、労働生産性、財務実績、製品やサービスの質など企業の業績を測る主要点について良好かどうかを回答してもらった。

 次に、マネジャーへのインタビューを実施した職場から各5~20名の従業員を無作為に抽出し、計4311名の従業員から得られた回答を分析した。従業員への調査では、企業へのコミットメントのレベル、職場で経験するプレッシャーの量、仕事による緊張や心配、不安が生じる頻度について回答してもらった。

 マネジャーのインタビューと従業員による回答のデータを突き合わせると、チームワークは企業の業績と従業員の心身の健康に、それぞれ異なる影響を与えている可能性があることがわかった。一方で、チームワークと企業の業績には正の関係があり、それは従業員の企業に対するコミットメント意識で、ある程度説明できた。