
多くの企業が毎年、人材開発に莫大な投資を行っている。だが、投資に見合う成果を生み出しているかというと、残念ながらそうではない。適切な情報を適切なタイミングで与えたとしても、それだけでは不十分だ。人間は覚えたことをすぐに忘れる生き物であり、学習の内容を使用する機会を提供しなければならない。こうした課題を解決するために、筆者は「リーン学習方式」の導入を提案する。本稿では、リーン学習方式を実践する方法論を示す。
2016年に世界の企業組織が研修に投じた費用は、3590億ドルにのぼった。だが、はたしてその金額に値する効果はあったのだろうか。
次のような事実を踏まえると、効果はそれほどなかったと言える。
・50の企業組織のマネジャー1500人を対象に行った調査では、そのうちの75%が自社の人材開発(L&D)に不満を持っている。
・従業員の70%が、自分の仕事に必要なスキルについて熟達できていないと回答している。
・L&Dプログラムで学んだ新しいスキルを仕事に活かしているのは、従業員の12%でしかない。
・最近のマッキンゼーの調査によれば、研修のおかげで業績が明らかに向上したと思っているのは、回答者のうちわずか25%だった。
今日、企業で行われている研修の大半は、効果がないだけでなく、研修の目的や時期、内容に不備がある。