
HBR Staff
新型コロナウイルス感染症の爆発的な流行により、世界中のリーダーが史上最大の危機に直面している。この状況で求められているのは、仲間たちが逆境を乗り越え、彼らの成功をサポートする「本物のリーダー」である。本稿では、ルーズベルト、チャーチル、リンカーンなど、危機で勇敢にリーダーシップを発揮した偉人の経験から、その要諦を紹介する。
私たちはいま、現代史に例のないグローバルな健康危機に見舞われている。
政府、企業、病院、学校といった機関に、これまでになく必要とされているのは、米国の作家デヴィッド・フォスター・ウォレスが言うところの「本物のリーダー」だ。すなわち、「私たちが自分の怠惰や自己中心性、弱さ、恐怖といった制約を克服し、自発的にやる場合よりも難しい物事を、よりうまくやれるよう助けてくれる」人だ。
筆者は20年にわたり、危機のとき勇敢にリーダーシップを発揮した人物の研究をしてきた。その結果、本物のリーダーの能力は、持って生まれたものではなく、つくられるものなのだということを確信している。仲間たちが逆境を乗り越え、成功するのを助ける能力は、リーダーの遺伝子に書き込まれているのではなく、危機の中ではぐくまれるものなのだ。
リーダーは、困難な状況で仲間を励まし鼓舞する行動をとったとき、「本物」になる。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が、あらゆる国や地域に広がるいまだからこそ、歴史上の偉人が先の見えない不透明感や重大な危険、そして大衆の不安に直面したとき、どのようなリーダーシップを発揮したのか紹介しておこう。