
取得可能なデータの量が膨大になったいま、企業は勘と経験ではなく、ファクトに基づくイノベーションを起こす可能性を秘めている。だが、そのために莫大な投資をしてきたにもかかわらず、データによる意思決定が浸透している企業は少ない。その最大の障壁は、技術ではなく文化にあると筆者は指摘する。本稿では、データドリブンの組織文化を築く「データの十戒」を紹介する。
爆発的な量のデータは、企業に新たな時代をもたらす可能性を秘めている。すなわち、新しいアイデアを確かなエビデンスによって裏づける、ファクトに基づくイノベーションの時代である。
企業は、顧客をもっと満足させたい、業務運営を合理化したい、戦略を明確にしたいといった願望に支えられて、過去10年の間にデータを集積し、テクノロジーに投資し、アナリティクス人材に報酬をはずんできた。にもかかわらず多くの企業にとって、強固なデータドリブンの文化は得がたいままであり、データが意思決定の全社的な基盤となっているケースは非常に少ない。
なぜだろうか。さまざまな業界で企業を支援してきた我々オリバー・ワイマン・ラボの経験に照らせば、データ主導のビジネスを築くうえで最大の障壁は、技術ではなく文化的なものである。
データを意思決定プロセスに取り入れる(技術的な)方法については、ごく単純な説明でこと足りる。それを従業員の標準的なやり方、ひいては習慣にすることのほうが、はるかに難しい。意識の変革という大きな課題が伴うのだ。
そこで我々は、データ中心の組織文化を築いて維持するうえで役に立つ「データの十戒」を抽出した。