コロナによって変わること、変わらないこと

波江野 少し話が変わるのですが、新型コロナのパンデミックは、間違いなく社会に大きな影響を与えました。今後、ヘルスケア領域におけるイノベーションという観点で、行政と民間の協力関係や国境を超えた企業同士のパートナーシップなどにどのような影響、あるいは示唆を与えると思いますか。

ユリウス デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、ロックダウン(都市封鎖)を徐々に解除するにあたって、今後はこれまで以上に民間企業と公的機関の協力が必要になると言っていました。私も官学民の連携はさらに進化していくべきだと思います。

 そこから生まれるさまざまアイデアやソリューションは、その国を救うだけでなく、世界を救うことにもなります。例えば、デンマークのリビングラボで生まれたソリューションと日本という国、あるいは日本企業が持つ国際的な影響力や実行力を組み合わせれば、世界に大きく貢献できるはずです。

波江野 例えば、新型コロナの感染拡大で遠隔医療のさらなる普及の必要性が日本で議論されています。ただ、これまでも遠隔医療は世界中で活用されていたわけですし、日本でも必要とする人は以前から多くいたのだと思います。孤独についての対策の議論も同様に以前からありました。

 そういった意味では、今回のパンデミックがイノベーションの必要性や社会課題の顕在化、社会変化の加速を助長した面は間違いなくあれど、本質的に変わらない面もあると考えています。

 また、社会課題の解決に対しては、産官学民が国を超え、大義のもとに事業性を持ってアプローチしていく点などは今後も変わらないでしょう。だからこそ、我々モニター デロイトもSDGs(持続可能な開発目標)やCSVなどを重要視しているのですが、そういう点でも御社と我々は非常に近い視点を持っていると思いました。

ユリウス 社会にとって意味のある仕事と経済的に意味のある仕事は、決して矛盾するものではないという私たちの考え方は、まさに御社と一致していると思います。社会的にもっと意味のある会社になるために、いい関係を築いていきましょう。

波江野 ぜひ、よろしくお願いします。本日はありがとうございました。