HBR Staff

事業の成否を測るうえで、その物差しとなる数値指標は不可欠である。ただし、売上げだけ、顧客満足度だけといったように、単一の指標だけを採用して、それ以外の要素を切り捨ててしまうと、成長が阻害される可能性が高い。筆者は、「量」「質」「効率」という3つの指標すべてに目を向けるべきだと主張する。


 企業経営者にとって、指標は不可欠なものだ。そのことは誰もが知っている。

 だが、見落とされがちなのは、指標と会社のミッション、さらには社員の幸福との関係だ。一つの数値指標を最重要視して、ほかの要素をすべて切り捨てれば、どうしても多くの人たちや多くの優先事項をないがしろにすることになる。その結果として、ビジネスの成長が妨げられる可能性も高い。

 私は民泊仲介サービスのエアビーアンドビーで働いていた頃、プロダクトマネジャー、デザイナー、エンジニア、データサイエンティストを含むチームを率いていた。

 単一の指標では、そうした多様なメンバーの活動の複雑さと、その相互作用を写し取れなかっただろう。いくつもの指標を組み合わせることではじめて、ビジネスが規模を拡大させ、それぞれのチームがそのプロセスに貢献するために何が必要かを明らかにできた。