組織文化の変革や現場の裁量権拡大もデータ活用のための課題
――現場が迅速にデータ活用できる環境を整備するためには、テクノロジーの導入以外にもやるべきことがありそうですね。
谷中 組織文化の変革が大きな課題の一つです。データドリブンな組織文化をつくるためには、小さな成功事例を積み上げていく必要があり、そのためにはデータ活用によるDXを成功させるという関係者の強い意志と経営トップのコミットメントが欠かせません。
もう一つは訓練ですね。人間が洞察力を発揮するのを支援してくれるThoughtSpotのような優れたソリューションがあったとしても、データやその分析結果からインサイト(洞察)を導き出すには、自分の経験や組織としてのナレッジ(知識)などを組み合わせて総合的に解釈しなくてはなりません。そういうスキルを身につけるには、座学も必要ですし、ツールを使いながら実地経験を積む必要もあります。
有延 私はテクノロジー以外に必要な要素は4つあると思います。1つは現場の裁量権拡大です。データに基づいて意思決定しようと思っても、裁量権がなくては何も決められません。
2つめは、組織として判断のスピードを上げること。現場の裁量権を超える範囲について提案や稟議が上がってきた場合、結論を出すまでに何日も待たせているようでは、結局、データドリブンな意思決定は進みません。
3つめは、谷中さんもおっしゃった人材教育と、適材適所の人員配置です。内部の人材だけでカバーできなければ、新たに採用することも必要です。そして、最後は予算。データ活用に基づいて業務プロセスを変えるにしても、いままでにない顧客体験を提供するにしても、新たなことを始めるには予算が必要です。これはトップのコミットメントがないとできません。
――最後になりますが、今後、日本企業のデジタル変革をどのように支援していくのか。それぞれの方針をお聞かせください。
谷中 当社では「デジタルサクセスTM」*という言葉を使っているのですが、AI・データの民主化によるDXを成功させるためには、戦略立案、IT基盤・データ基盤の構築、そしてデータ活用を支える人材育成と組織の整備をバランスよく推進していく必要があります。
これらをNTTデータグループとして総合的に支援し、AI・データ活用によるデジタルサクセスを1社でも多くの企業が実現できるよう取り組みを強化していきます。
有延 欧米ではすでに世界的企業の多くがThoughtSpotを採用しており、データ分析ソリューションとしての実績は十分あると自負しています。ただ、先ほども申し上げたように、DXの実現を目指す企業に対して、当社単独で支援できることには限界があります。
ですから、ThoughtSpotの先進性をいち早く見抜いてくださったNTTデータさんをはじめとするパートナー企業と緊密に連携を図りながら、日本企業のDX実現に貢献していきたいと考えています。
――本日はありがとうございました。
*「デジタルサクセスTM」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。デジタルサクセスとは、AI・データ活用を起点にビジネスの成功を実現することで、NTTデータは企業のDX戦略策定からAI人財育成およびデータ活用基盤の構築、AI・データ活用の実務支援までをプログラムとして提供しています。

※本対談の冒頭で触れているハーバード・ビジネス・レビュー・アナリティクス・サービスによる調査レポート「新たな意思決定者」にご興味のある方は、こちらからダウンロードできます。
https://www.dhbr.net/articles/-/6755
ソートスポット合同会社
URL:https://www.thoughtspot.com/jp