企業はもれなく「複雑系モデル」と「大量生産モデル」に分類できる。顧客やバリューチェーンはもとより、営業やマーケティング、人材要件、組織文化と、何から何までまったく異なる。なのに、これら二つのモデルを同時に抱え、両方とも成功させようとする。しかし、いかなる企業も、筆者いわく「利き手」があり、最終的には、複雑系モデルか、大量生産モデルのどちらかを選択せざるをえない。M&Aの大半が失敗するのは、複雑系モデルと大量生産モデルという二兎を追いかけたがための結果であり、当然の帰結でもある。
自社の利き手を正しく認識することなくして、戦略は機能しない。