オムロンの存在意義が
いまこそ問われている

編集部(以下色文字):新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業が赤字に転落する中、オムロンの2020年度第1四半期(4~6月期)決算は大幅な増益でした。

山田 義仁(やまだ・よしひと)
1961年生まれ。同志社大学経済学部卒業。1984年立石電機(現オムロン)入社。一貫してヘルスケア事業部門を歩み、米国に駐在、欧州では現地法人トップを務めた。2008年オムロンヘルスケア社長。2010年オムロンのグループ戦略室長として長期ビジョンを策定。執行役員常務を経て、2011年6月代表取締役社長に就任。

山田(以下略):厳しい事業環境の中でも変化対応力を発揮することができ、減収ながらも増益を達成することができました。

 要因は3つあります。まず、減収幅は当初15%くらいを想定していたのですが、世界的なマスク増産の需要をとらえて製造設備用の制御機器の販売を伸ばしたり、ヘルスケア事業で体温計の生産体制を素早く増強したりしたことで、8.5%の減収に留めました。