人は時として、余人には理解しがたい奇怪で独断的な行動に出ることがある。その原因はこれまで往々にして、当人の異常なパーソナリティに求められることが多かった。「極悪非道の参謀」として昭和史に名を残した辻政信はその典型である。しかし、経済心理学や行動経済学が説く「心理会計」(メンタル・アカウンティング)に照らすと、取引コストや埋没コストを勘案した合理的な論理が浮上してくる。そこでは過去の戦果と予想される現在の戦果が、心理状態に大きく影響している。リーダーの問題行動が何に依拠しているのか、数字によって浮き彫りになるのだ。