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マネジャーの仕事とは何か
「これまでで、いちばん素晴らしい上司でした」
こんな台詞を口にしたり、聞いたりしたことがある方は、けっして少なくないのではないだろうか。さて、その意味するところは何か。エクセレント・マネジャーと凡庸なマネジャーの違いは何か。
マネジャーの資質とリーダーのそれは似て非なるものだ。この点を指摘した書物は多い。しかし、日常業務を通じて、部下の能力を最大限に引き出し、やる気にさせるために、マネジャーはどのように行動したり、意思決定したりすればよいのか、具体的に教えてくれるものは少ない。
エクセレント・マネジャーと評される人々は、いったいどのように行動しているのだろうか。
8万名のマネジャーを対象にしたギャラップによる調査と、過去2年間にわたるマネジャーたちの詳細な研究から、私は次のような見識を得た。つまり、経営手法はそれぞれ異なるものの、エクセレント・マネジャーにはある共通した資質が見られる。それは、一人ひとりの部下の個性を見つけ、その個性を十二分に発現させていることだ。
凡庸なマネジャーはチェッカー[注]に興じるが、エクセレント・マネジャーはチェスを好む。その違いとは何か。 チェッカーの場合、駒は1種類しかない。駒を取り換えても差し支えない。どのように動かすのか、あらかじめ考えておく必要はあるが、どの駒も同じ動きしかできない。
チェスの場合、駒は何種類もあり、種類ごとに動きが異なる。そのことを知らなければ話にならない。それに、どのように駒を動かすのか、慎重に考えないと、ゲームに勝つことはできない。エクセレント・マネジャーは、時には常識外れでも、その部下の個性を理解し、これを受け止め、全体の業績へと生かす。
これは、エクセレント・リーダーの行動と正反対である。エクセレント・リーダーは、人々に共通するところに着目し、それを活用する。リーダーの仕事は、人々をよりよい未来に導くことである。したがって、人種、性別、年齢、国籍、個性を超えて、時には訓話を垂れ、英雄たちを称え、ごく少数の人たちしか認識できていない教訓をうまく利用しなければならない。