二〇〇二年七月三〇日に制定された「サーベンス・オクスリー法」(SOX法)は、粉飾会計を一掃し、緩んだ企業倫理を正す一策であるばかりか、株式市場の右肩上がりを理由に、軽視されてきた本質的課題に光を当て、またこれからの企業経営と競争優位を占ううえで不可欠な議論を喚起した。しかしアメリカでは、八〇年代のM&Aや金融犯罪の話題が賑やかなりし頃から、コーポレート・ガバナンスやインテグリティ(誠実さ)に関する議論が高まり、これと同時に、さまざまな調査や研究活動が実施され、その過程のなかで、相乗的にマネジメントと意思決定の質は高められてきた。その際、最も大きな役割を果たしたのがSOX法といえる。同法が果たした役割とその効果についてひも解く。