-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
監査委員会はCEOの言いなりになってはならない
アメリカ資本市場の根幹を揺さぶったエンロンやワールドコムなど一連の不正会計事件以後、SEC(証券取引委員会)をはじめ、アメリカ規制当局は、公開企業の経営者にいっそうのアカウンタビリティ(説明責任)とコンプライアンス(遵法義務)を突きつけることになった。
とりわけ産業界に混乱を招いたのが、サーベンス・オクスリー法(SOX法)の第302条および第404条、すなわち財務諸表の適正性に対する経営者宣誓書の提出、その財務諸表に関わる内部統制監査の義務化である。
宣誓しなければならないCEOとCFOには、もし違反した場合、「最長10年の禁固刑、または100万ドル以下の罰金、あるいはその両方」が、また故意の違反には、「最長20年の禁固刑、または500万ドル以下の罰金、あるいはその両方」という罰則が適用される。
2002年7月30日に成立して以来、さまざまな議論が巻き起こってきたが、2004年12月期の決算において、多くのアメリカ企業がその適用を受けた。
そして、このSOX法元年となった2004年度の財務報告を、斯界の権威はどのように評価しているのか。
ローマン L. ワイル氏は、トップ・クラスのビジネススクールとして知られるシカゴ大学経営大学院の会計学の責任者であり、また、公認会計士でもある。ニューヨークの投資信託会社で監査委員会のトップも務め、実務界の現在にも通暁する。
教授は、内部統制監査の効用に一定の理解を示しつつも、不正会計問題により有効なのは、執行と監督の分離を確かなものとするためにも、監査委員会がCEOの言いなりになってはならないことだと指摘する。実際、SOX法の第301条も「公開会社の監査委員会は独立していなければならない」と定めている。そして、監査委員会が解放され、独立するには、社外からの独立取締役で構成すると同時に、その財務会計能力を向上させることが不可欠であると強調する。