顧客と企業を成功に導くLTV最大化と工数削減

 2015年ごろに米国で広がり始めたカスタマーサクセスが日本でも話題に上るようになったのは18年ごろ。「3年先行した米国では18年ごろからスコープが変わり始めました。対象となる業種が一般化し、さまざまな施策をITによって効率的に実施しています。“カスタマーサクセス2.0”と呼ばれる取り組みが日本でもこれから広がるはずです」(高田氏)。

 ITを駆使して顧客との関係性を構築する仕組みとしてCRMが知られているが、どう違うのだろうか。高田氏は「CRMは新規顧客の獲得に重点が置かれていますが、カスタマーサクセスが主に対象とするのは既存顧客。製品やサービスを売り込むセールス活動と、顧客の課題を解決するLTVの最大化には大きな違いがあるのです」と指摘する。

 カスタマーサクセスの最も重要なポイントは、顧客と企業のベクトルが同じ方向を向いていることだ。顧客は課題解決を求め、企業はそれを支援することで利益を得る。それが大前提であり、”焼畑農法”と揶揄されがちな強引なセールスや赤字覚悟の手厚すぎるサポート活動とは大きく異なる。

 そのうえで重要なのは、どんな施策を実行するのかだ。「カスタマーサクセスのためにできることは、理論上無限大です。しかし、何から何までやろうとすると現場は疲弊します。まず顧客を理解したうえで最適な戦略を考えて、施策を効率的に実行していくことです」と高田氏は語る。

 そのために同社は、顧客ポータルの提供によりカスタマーサクセスを実現するプラットフォーム「commmune(コミューン)」を提供し、顧客接点を一元化するともに、データ集約と分析を提供している(図)。目指すのは顧客LTVの最大化とカスタマーサクセスにかかる工数の効率化の両立である。