2021年10月19日、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューはウェブセミナー「新しい働き方、新しい職場〜ハイブリッドワーク時代のワークスタイル・イノベーション〜」を、マーサージャパン、ロジクール、シスコシステムズ、Slack Japanの協賛を得て開催した。
世界を席巻したパンデミックにより、私たちは突然のワークスタイルの変更を余儀なくされた。在宅勤務とオフィス勤務を適切に組み合わせる「ハイブリッドワーク」が模索されており、生産性が高まるケースもある一方で、従業員エンゲージメントの低下や組織内コミュニケーションの不足など課題も多い。本セミナーでは、基調講演にベストセラー『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』『ワーク・シフト』の著者で働き方研究の第一人者であるロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授、そして特別講演に東京大学大学院の稲水伸行准教授の2氏を迎え、新しい時代の働き方について語ってもらった。
誰も予想がつかなかったパンデミックの長期化
まずリンダ・グラットン氏の講演はインタビュー形式で話が進んだ。彼女はこのコロナ禍における現状について「このパンデミックがここまで長引くとは誰も予想することはできませんでした」と答えた。グラットン氏は、パンデミックが始まった頃から日記をつけ始め、それを読み返してみると、2020年3月の世界経済フォーラムに参加した時、経済界を代表するメンバーたちは誰一人としてここまでの長期化を予想ができず、また彼女自身にとってもパンデミックは理解の外で、これまでの人生で最大の出来事だったと語る。
「このパンデミックは、CEOでも配達ドライバーでも世界中のすべての人々にさまざまな影響を及ぼしました。これは“新しいやり方で物事に取り組むチャンス”だと受け止めています」と語る。すべての人々に合う働き方をどう再設計していくのか。それがこのパンデミックがもたらした最大の変化であるという。

ここで日本の例を挙げる。グラットン氏が知る中で、日本は最も会社を愛する国だという。「私はこの20年間、日本に通っています。日本人は東京まで2時間かけて通勤し、長時間仕事をする。仕事が終わると帰宅するのではなく、会社近くの居酒屋に行って同僚と過ごす。正直な気持ちを言うと、どうしてこんなことが可能なのか思っていました。それを質問すると『自分たちにはこれしかできないから』、つまり、これが自分たちの働き方だと。しかし、パンデミックは、これまでとは違う働き方、働き方の習慣を学ぶ機会を与えてくれています」