ハイブリッドな働き方で、生産性を高める
~週休3日でも勝てる企業に学ぶ

 次にハイブリッドな働き方として、日本マイクロソフトがどのようにワークスタイルをチェンジしてきたかの事例を挙げた。「日本マイクロソフトは、B2C、B2B、そしてクラウド事業へとドラスティックに大きく3回の事業転換を行っており、従業員からは3回転職をしたようだともいわれています」

 トップダウンで稼げる事業へとビジネスモデルを大きく変換していった会社だが、その事業変革に沿った「いつでも」「どこでも」「コラボレーション」という働き方を最初から狙っていたわけではないという。日本マイクロソフトは強い成果主義なのも関係しており、「高いパフォーマンスを出さないと生き残れないというプレッシャーが非常に強いのです。しかし、一人の力だと限界がある。だから成果を出すためにはさまざまな能力を持った人を巻き込んで仕事をしなければならない。そのためにオフィスはコミュニケーションしやすく、コラボレーションが生まれやすい環境づくりがされているのです」

 ハイブリッドな働き方が完成するために、まずは行動を変え、試行錯誤・改善し、定着させるというボトムアップ、現場にも浸透させなければならない。トップもコミットしながら、10年単位で時間をかけて取り組んでいく必要があるという。「ワークライフチョイスチャレンジとして、週休3日にするために、週に5日でやっていた仕事と同じ仕事量をいかに4日でやれるような工夫を促しています。そして、その中で出てきたよいアイデアを、会社全体でオーソライズして定着していく……というような長いスパンで変わっていくのです」

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10年で、年間売上高や一人当たり売上高が約2倍になっている

 これらのことを踏まえて、コロナ禍は働き方を変える大きなチャンスではあるが、すぐに変わるものではなく、試行錯誤しながら組織改革、働き方改革をトップと現場(ボトム)の両輪で長い時間をかけて進めていくものだろう、と締めくくった。