Illustration: Peter Gehrman

社内政治という言葉を耳にした時、ネガティブな印象を抱く人は多い。上司に媚びへつらったり、他人を蹴落としたりする行為は好ましくない。だが、ビジネスパーソンにとって、良好な人間関係を構築して組織に影響を及ぼす能力は不可欠であり、社内政治を避けていると仕事のパフォーマンスや昇進に支障をきたす可能性がある。女性や民族的マイノリティの場合、特にそうだ。本稿では、従業員が健全な形で社内政治に参加できるように、組織がインクルーシブな文化を構築するための5つの戦略を紹介する。

 

 誰もが、社内政治から逃れることはできない。社内政治には悪いイメージがついて回るが、人的ネットワークを広げ、人間関係を構築し、ほかの人たちに影響を及ぼす能力は、どのような職場でも不可欠だ。

 残念なことに、社内政治は白人男性だけのものになっているケースがとても多いことが、研究で示されている。白人男性に比べると、女性や民族的マイノリティは強力なネットワークを持たず、社内政治の恩恵を受けづらいのだ。

 このような不平等の是正を目指す取り組みは、ほとんどの場合、社内政治から排除されている人たちの行動の「修正」に力を注いでいる。彼らの政治スキルを高めさせたり、社内政治への抵抗感を弱めさせたり、社内政治との向き合い方を変えさせたりしようとするのだ。一方で、排他的で有害な社内政治の文化を生み出すうえで、組織が果たしている役割については、十分に目が向けられていない。

 もちろん、個人に善意のアドバイスを行うことは有益でない、と言うつもりはない。しかし、有意義な変化を実現するためには、リーダーが行動を起こし、組織のレベルでよりインクルーシブ(包摂的)な文化を構築する必要がある。

 健全な社内政治を促すために、組織として何ができるのか。これを明らかにするために、筆者らは英国で、さまざまな業種で働き、キャリア中期に差し掛かる民族的マイノリティ40人を対象に、デプスインタビューを実施した。

 筆者らは、彼らに社内政治の経験を語ってもらい、みずから社内政治を実践しようという意欲にオフィスの環境がいかなる影響を与えているか尋ねた。統計モデルによってその回答を分析し、包摂性が高い文化と低い文化を持つ組織に共通する要素を特定した。