研究の概要

バシマ A. テュフィク助教授
マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール・オブ・マネジメントのバシマ A. テュフィク助教授は、「インポスター症候群」──仕事で成功していると評価されていても自分を過小評価して、実力を偽っている詐欺師だと思い込むこと──の従業員を対象に、2つのフィールド調査と2つの実験を行った。そして、彼らが社会的な交流において、より他者志向であることがわかった。その結果、対人関係のスキルの評価も高かったのである。
つまり、「インポスター症候群は強みになる」。この結論についてテュフィク助教授に解説していただこう。
インポスター的な思考は
「他者志向」である
テュフィク(以下略):インポスター症候群をよく知っている人は、一様に有害だと考えがちです。たしかに、自分は他人が思っているほど有能ではないという思い込みは、不安を煽り、自尊心を低下させかねません。