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たった一つの究極の質問
資産運用会社のザ・バンガード・グループ、ファストフード・チェーンのチック・フィレ、保険会社のステートファーム──。
これらに加え、ロイヤルティの真の力を熟知した大手企業6社のCEOたちが一堂に会した。それぞれ顧客や社員からの高いロイヤルティを獲得したことで、自社を業界トップに成長させてきた。そして、その取り組みをさらに強化しようと、意見交換の場が設けられたのだった。
議論も終わりに差しかかった時、エンタープライズ・レンタカーのCEO、アンディ・テイラーから驚くべき発言があった。顧客ロイヤルティを測定し管理する新たな方法を発見したというのである。
しかも、従来のように手間暇を要するアンケートは必要なく、2つの簡単な質問について毎月集計するだけだという。第1の質問は購入・利用後の総合的な満足度を問うものであり、第2はリピート・オーダーの可能性を問うものだった。
簡単ゆえに回答しやすく、また集計も楽なので、調査の数日後にはアメリカ国内5000カ所の営業所のランキングが発表される。おかげで各営業所は、顧客の反応をほぼリアルタイムで知ることができるばかりか、他の営業所の成功に学ぶこともできたという。
この調査には、もう一つ重要な特徴があった。各営業所の成績は最高点をつけた顧客の人数だけで決まることだった。このエンタープライズの方式は熱心な支持者だけに注目するというもだが、他のCEOたちから続々と疑問の声が挙がった。
「他の顧客はどうするのですか。ある程度満足しており、今後も利用は続けるという顧客も無視できない存在ではないですか」
「統計を取って中央値を出すといった、より高度で洗練された手法のほうがよいのではないですか」
これらに対してテイラーはこう断言した。