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金融サービス業に「リーン生産方式」を導入する
1990年代末、我々ジェファーソン・パイロット・フィナンシャル(JPF)はアメリカの典型的な生命保険会社だった。当社はフル・サービスを提供しており、4件の買収を経て、その規模は3倍以上に拡大した。
それでも、競争が激化する業界で生き残るには、新たな方法を模索しなければならなかった。顧客ニーズの高まりに応じて、新しい保険商品を開発させたものの、それに伴って商品は複雑化し、コストは増大した。
同時に、専門分野に特化したニッチ企業が安い保険料とスピーディな処理を売り物に攻勢をかけてきた。それゆえJPFは、サービスの向上、コスト削減に向き合わざるをえなくなった。
経営陣は、直接の顧客、つまり「生命保険アドバイザー」(中立的な立場で保険商品の販売とサービスの提供を担っている)に向けて、何らかの差別化を打ち出す必要があると認識していた。
そこで2000年、売上げの大部分を稼ぎ出している、優秀な業績のアドバイザー数百人を対象に「プレミア・パートナー・プログラム」を導入した。これらのアドバイザーたちからJPFをベスト・パートナーと位置づけてもらい、売上げをいっそう伸ばしてもらうのが狙いだ。
この戦略の核として、これらアドバイザー向けの良質なサービスを特定した。ではサービスを向上させると、どのような影響が生じるか。これを把握するために、新規事業部門のオペレーションについて徹底的に分析した。その結果、既存のサービスの質に大きなばらつきがあることがわかった。
たとえば、主治医の報告書が必要な新規の保険契約申請書を処理するのに1~2カ月かかっていた。この報告書が不要な申請書の処理時間はさらにばらつきがあった(標準偏差35%以上)。このような書類はすぐ処理されて当たり前なわけだが、このばらつきのせいで、修正が必要な申請書が多い時には10%にも上った。
問題はサービスの質だけではなかった。当社の本社があるノースカロライナ州グリーンズボロと支社のニューハンプシャー州コンコードを比べた場合、申請書1件当たりの処理コストに大きな開きがあった。