信頼する上司が会社を辞める時、あなたはどうすべきか
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サマリー:上司の離職に対し、部下が不安を感じるのは普通のことだ。その際、「自分も続くべきだろうか」という迷いが生じる人もいるだろう。ただし、そうした判断を行う大前提として、キャリアのマネジメントの責任はみずから... もっと見るが負うものであることを忘れてはならない。本稿では、上司に続いて離職する前に自問すべき5つの問いを紹介する。 閉じる

上司のキャリアチェンジによる不安と向き合う

 上司が会社を辞めて転職すると、人によっては内省の波が押し寄せる。自分の目標や忠誠心、はたして自分自身のキャリアが正しい方向に向かっているのかどうか、考えさせられるのだ。なかでも一番大きな問題は、上司の離職によって生じるある迷いだろう。「自分も続くべきだろうか」と。

 いずれにせよ、先のことについて不安や心配を感じるのは当然だ、とペンシルベニア大学ウォートンスクールの経営学教授で副学部長を務めるナンシー・ロスバードは言う。「上司が辞める時に多くの人が陥る心理状態は、不安です。ここに居続けたら、あるいは辞めたら、自分はどうなるのだろう、と思い悩むのです」と彼女は言う。上司に続くという決断を下す前に、慎重な検討が必要だ。ただ、職場を変えるというだけではない。何を優先し、守りたいのかを再確認し、将来の自分の姿をイメージすることが必要である。

 ピアシング・ストラテジーズの社長兼創業者で、リーダーシップ開発コンサルタントであるアリカ・ピアース・ウィリアムズは、結局のところ、自分次第だと言う。「自分のキャリアは、自分で責任を持つこと。その方向性を上司に影響されることはあっても、コントロールされてはなりません」。以下では、ロスバードとウィリアムズによる、上司に続いて離職する前に自問すべき5つの問いを紹介しよう。

1. 上司の転職理由を知っているか

 人が転職する理由はさまざまであり、それはあなたの上司も同じだ。辞めていく人が必ずしも惨めだとか、いまの会社がダメだと思っているからだとは限らない。「もっと稼ぎたいとか、キャリアアップしたい、ワークライフバランスを改善したい、単に新しいことや違うことをやるきっかけがほしい、そういうことかもしれません」とウィリアムズは言う。