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パーパスの形骸化
ほとんどの大企業は、パーパスステートメントを持ちたがる。ウェブサイトや広告に掲載し、工場やオフィスの壁に貼り出すこともある。リーダーたちは、大胆なパーパスが従業員のモチベーションを上げると考えているようだ。パーパスによって全員が価値ある目標に向かって一丸になれる、というわけだ。
残念ながら、そのようなことはめったにない。ほとんどのパーパスステートメントは、あまり影響力がないのだ。
最近、筆者らの属するベイン・アンド・カンパニーは、米国最大手の小売業および消費財の企業81社に関するグラスドア(従業員が匿名で企業を評価するサイトを運営)のレビュー約15万件を、生成AI(人工知能)ツールで分析した。従業員が自社のパーパスは明快で、自分の仕事にとって意味があると思っているか、その証拠を探したが、ほとんど見つからなかった。そもそもレビューの要素として自社のパーパスを取り上げた人は3%に満たない。パーパスに言及した場合でも、称賛するのと同じくらいの数の人が酷評していた。
皮肉なことに、パーパスステートメントには従業員やほかのステークホルダーを奮起させてモチベーションを上げ、行動を形成してチームワークを築く力があるとされる。ただしそれは、企業がパーパスに対して真摯に向き合っている場合に限る。
この調査では、パーパスが卓越した成果の達成に役立っているとステークホルダーが見なす、いくつかの企業が見つかった。筆者らは、そうした企業をさらに分析してインタビューを行い、4つの主な成功要因を突き止めた。
1. パーパスでは真実を告げる
あらゆる企業の真の目的は、もちろん、人のために価値を創造することである。ただし、それはオーナーを金持ちにすることから、世界をよりよい場所に変えることまで、いかなる意味も持ちうる。