「誰も口にしたがらない問題」を話し合えるチームのつくり方
HBR Staff/macrovector
サマリー:チーム内で誰も話したがらない「言及されない問題」を表面化させることは難しい。しかし、問題を放置すれば、それらは見えないところで静かに積み重なり、従業員のモチベーションに大きな影響を及ぼす。本稿では、議... もっと見る論しにくい問題の兆候を見つける方法を説明し、これらを明らかにしてチームがより生産的に働けるようにするための戦略を提供する。 閉じる

チームで誰も言い出すことができない問題がある時

 有望な新製品の品質に対する懸念が隠蔽されている。チーム内の明らかな緊張や不和が見過ごされている。チームの掲げる表向きの価値観と実際の行動のギャップが、指摘されないまま放置されている──。

 職場の心理的安全性が大いに話題になっているが、チームには依然として「言及されない問題」が数多く存在している。トピックがあまりにも漠然としていて、あるいはあまりにも複雑なために、きちんと取り上げて議論されないのだ。意識的または無意識に避けられているトピックに共通するのは、それを話題にしなければ、一時的な不快感や対立を避けられるということだ。

 しかし、議論できないトピックが存在するのは、チームリーダーによる認識のギャップが存在するせいでもある。つまり、リーダーは、部下たちがかなり自由に発言できていると過大評価しているのである。自分のチームメンバーは心理的に安全だと感じていて、偽りの合意効果により、部下たちもチームについて同じように認識・経験していると錯覚しがちだ。

 現代の職場が分散型のチームや、バーチャルなコミュニケーションに移行するにつれて、議論できないトピックの問題は大きくなる。このような職場では、居心地を悪くするトピックを提起したり、不快感を察知したりするのがいちだんと難しくなるからだ。しかし、議論できないトピックを明らかにする努力を怠ると、仕事上の人間関係がぎくしゃくしたり、ミーティングが非生産的になったり(生産的な議論が行われない)する場合がある。議論できないトピックを無視すると、時間が経つにつれ、チームの問題解決能力や学習能力、パフォーマンスの向上を妨げて、莫大な損失をもたらしかねない。

 問題がエスカレートして、やる気や成績にダメージを与える前に、チーム内でタブーとされているトピックを明らかにすべきだ。本稿では、その方法を紹介しよう。

問題が存在することを認める

 議論しにくい問題が存在することを示す典型的なサインは多数ある。たとえばミーティングで、すぐさま合意が形成されたり、建設的な議論が起きなかったり、発言者に偏りがある場合などだ。また、チーム内の頑固な対立や、間接的なコミュニケーションと三角関係、やる気のない従業員も兆候といえるだろう。