「3つのチームが一体」の強み

――サステナビリティ情報の開示制度化の進捗を見つつ、常に環境投資の効果を把握し、将来を見据え、利益貢献につながる戦略を立てる。そして、それに見合ったツールやシステムを選定する。考慮すべきポイントは広範囲に及びますね。

浅野 実際、各企業におけるカーボンニュートラル関連の業務は、社内外の多岐にわたるステークホルダーとの対応が必要であるため、部門横断の業務も多く、調整や対応が複雑です。そのため、各企業の担当者に想定以上の負担がかかっていると、伴走支援する中で感じています。

 加えて、各社の方針に基づく対応であるため、正解がなく、解が一意ではありません。規制対応がスタートしたばかりでもあり、参考になる過去事例や他社事例も少なく、非常に難易度が高いです。

 サステナビリティ情報の開示に限っても、企業価値を高める開示作成までの道のりはロングジャーニーといえるでしょう。価値創造の取り組みは、1つの専門知識だけでは完結できません。経営企画・サステナビリティ推進・IR、財務経理、内部統制・監査、事業・LCA、ITシステムなど、さまざまなスペシャリストや専門チームとの共同作業が不可欠です。

細井 そのため私たちは、監査や開示を専門とするチーム、LCA手法や経営戦略に詳しいチーム、ツールやシステム開発に詳しいチームの3つが一体となってクライアントからの相談に応じています。

小林 状況がわかりにくい中であっても、3つのチームが連携しながら、クライアントからの相談に対応することができる。これは私たちの最大の強みだと思います。

【プロフィール】
◎浅野圭子(Keiko Asano)
PwC Japan有限責任監査法人 パートナー
PricewaterhouseCoopers Japan LLC Partner

青山学院大学国際政治経済学部卒業、Zicklin School of Business MBA修了。総合商社、監査法人、金融機関を経て2008年から現職。会計基準や法規制に基づく「レポーティング」と「データ」を軸としたアドバイザリー業務に幅広く従事。近年は、サステナビリティ領域における開示基準対応を入り口とする企業のトランスフォーメーションを支援。「IFRS適用企業に影響を与える主要論点」(『週刊金融財政事情』)など寄稿。

◎細井裕介(Yusuke Hosoi)
PwCコンサルティング ディレクター
PwC Consulting LLC Director

上智大学大学院理工学研究科修士課程修了。自動車メーカー、コンサルティングファームなどを経て、2019年PwCコンサルティング入社。自動車・モビリティ産業における電動化、製造業のカーボンニュートラルなどに関する戦略立案から実行まで変革を広く支援。共著に『LCAが変える産業の未来』(ダイヤモンド社)。

◎小林信一朗(Shinichiro Kobayashi)
PwCコンサルティング ディレクター
PwC Consulting LLC Director

中央大学商学部卒業後、プログラマー、システムエンジニア、プロジェクトマネジャー、B2Bマーケティングコンサルタントを歴任し、20年以上にわたりシステム開発に携わる。2022年より現職にて主にSalesforce導入支援プロジェクトを担当。開発者、コンサルタント双方の知見と経験を有しており、事業戦略/構想策定から、システム化要件定義、設計、製造、定着化まで一貫したマネジメントを得意とする。

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