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チームの負の感情に対処するリーダーが軽視されている
リーダーは長い間、職場でネガティブな感情の聞き役になってきた。従業員から困難な状況や同僚に関する不満を聞き、昇進を逃すなど、かなわない期待をめぐる失望に耳を傾けてきた。
しかし、職場の環境が変わり、上司からの幅広い感情的なサポートへの期待が高まっていることに伴い、現代のリーダーはさらに多くの重いテーマを扱っている。従業員のバーンアウト(燃え尽き症候群)やメンタルヘルスの課題、家族や人間関係の問題、健康上の懸念、経済的なストレスなど、その範囲はますます広がっている。
最近の研究によると、リーダーは平均で1日に約1回、一緒に働く人人々の個人的な問題や悩みの解決に向けサポートしている。これは仕事に関するサポートとほぼ同じ頻度だ。ただし、こうした感情的な負担は均等に配分されているわけではなく、特定のリーダーに偏っている。彼らは、いわば毒物取扱責任者だ。あらゆる組織に必然的に存在する苦痛や複雑な感情──悲しみ、いら立ち、恨み、怒り──を自主的に背負う管理職である。
毒物取扱責任者でもあるリーダーは、他者のウェルビーイングに気づいて配慮しており、悩みを抱えている人は仕事で最善を尽くして協調する能力が低下することを理解している。健全な職場の利点を知っていて、職場を円滑に動かすために、組織のメンバーの苦痛や負担を和らげて緩衝材になるために介入する。
筆者のクライアントのジョーダンは製品管理チームのシニアリーダーだ。彼のチームは、別の2人のリーダーの根深い人間関係の確執のせいで分裂状態にある。ジョーダンは通常の仕事をめいっぱい抱えながら、チームが機能して仕事を継続できるように、舞台裏で長時間、努力を続けた。メンバーの話を親身になって聞き、敵意や憤り、絶望といった感情を吐き出すことを受け入れ、2人のリーダーの対立を解決するために相談に乗り、同時に彼らの周囲で苦悩する人々をなだめた。
ジョーダンのような毒物取扱責任者は、会社からは認められず、報われないことも少なくないが、組織の有効性を守るという重要な役割を担っている。他人の痛みに寄り添って受け入れることにより、彼らのネガティブな感情を軽減し、それが広がるのを抑制して、従業員が生産性を維持しながら質の高い仕事を継続できるようにする。
ただし、他人のネガティブな感情に頻繁に対処することは、正しく管理されなければ、共感疲労、燃え尽き症候群、有効性の低下につながり、有害な影響をもたらしかねない。
あなたが職場の健康と生産性を推進する縁の下の力持ちという立場ならなおさら、組織にとって重要な役割がもたらす個人的な負担を軽減するために対策を講じることが、極めて重要になる。そこで、自分自身をケアすることを通じて他者をケアするという大切な仕事ができるように、実践的な5つの戦略を紹介する。