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企業にとって最も重要な意思決定
企業の取締役会が下す意思決定は数多い。その中で最も重要なのが次期CEOの選定と言っていいだろう。CEOの継承(サクセッション)でつまずくと、従業員の業務に混乱が生じ、上級幹部が離職し、企業の評判が低下したり価値が大幅に毀損したりといった事態を招きかねない。加えて、退任するCEO、取締役会、後継者に指名された人物のキャリアや名声も台無しになるおそれがある。
クラウディオ・フェルナンデス=アラオスらの調査[注1]によると、CEOやCクラス幹部の継承失敗に伴う損失は、S&P1500種株価指数の構成企業だけに限っても、年間1兆ドル近くに上るという。CEO解任を余儀なくされた企業では、株主価値が1社当たり平均18億ドル毀損されることが、PwCの2015年の調査[注2]で明らかになっている。ウォルト・ディズニーでは、経営トップがボブ・アイガーからボブ・チャペックに交代し、その後アイガーが再登板した。ゼネラル・エレクトリック(GE)では、ジェフ・イメルトからジョン・フラナリー、さらにラリー・カルプへとバトンが渡った。両社を見れば、CEO継承への対応を誤るとどうなるかをあらためて思い知ることになる。
理屈の上では、CEO継承プロセスに関わる主要当事者はプロセスを成功に導くという点で目標が完全に一致しているはずだ。だが実際には、複数の思惑が交錯する。