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職歴に対する認識、3つの変化
職歴の空白期間に関する考え方が変化しつつあるようだ。かつては、求職者にとって御法度と考えられていたが、現在は、どこかに雇用されていなかった期間があることについて、気後れすることなく、オープンに語る人が増えている。リンクトインが2022年に世界中の勤労者2万3000人に行った調査によると、3分の2近くがキャリアを中断した時期があった。そこでリンクトインは、プロフィールに「キャリアブレイク」を記入できる機能を設けて、休職・離職期間中に得た経験やスキルをアピールできるようにした。
この文化的なシフトの背景には多くの理由がある。まず、コロナ禍の時、過去に例がないほど失業者が急増した。多くの企業は、需要の急激な縮小を受けて人員を削減し、労働者の側でも、子どもの学校が休校になったり、医療システムが混乱したりして、自宅で家族の世話をしなければならない人が増えた。コロナ禍を通じて、事業や雇用で大変な思いをした知り合いが一人はいるはずだ。
第2に、Z世代を調査したところ、雇用の空白期間に否定的どころか、ともすれば肯定的な見方がある。Z世代は現在、世界の労働力人口の約3分の1を占めるが、2035年には最大の割合を占めるようになる。世代による考え方の違いで、非伝統的なキャリアパスに対するオープンな姿勢が広がっているとすれば、その影響は今後ますます大きくなるだろう。
第3に、ソーシャルメディアでキャリアの中断をオープンに共有するトレンドが、一般社会にも広がってきた。新たな仕事のオファーを引き出すことを狙った、計算されたキャリアブレイクの発表から、感情的な離職の報告まで、今日のプロフェッショナルは、少し前なら考えられなかった形で自分の経験を共有する傾向があるようだ。
キャリアの空白期間をオープンに語るトレンドを受け、コーチやコンサルタントは、失職への対処法について新たなアドバイスを提供してきた。そこでは、職歴の空白期間とその理由を正直に明らかにすることの重要性が強調される。正直さは、いまも昔も最善の対処策なのだ。また、職場以外の場所での学習経験を強調するよう助言するコーチもいる。
これだけの証拠を突きつけられれば、職歴に空白期間があることを心配するのは過去のもの、と結論づけたくなる。だが、それは採用活動に関する重要なデータを無視することになる。
履歴書の空白期間が採用に与える影響
履歴書の空白期間に関する否定的な見方を理解するために、履歴書作成サービス「レジュメゴー」(ResumeGo)は、2019年にフィールド実験をした。まず、人気求人サイトに掲載された求人3万6000件以上に、雇用の空白期間がある架空の人物の履歴書を送付した。すると、面接に進めた割合は、空白期間がゼロの人の場合11%超で、1~2年の場合は約10%だったが、空白期間がそれよりも長くなると、面接に進める可能性は大幅に低下する。空白期間が3年だと4.6%、4年だと3.7%、5年だと3.1%だったのだ。