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リーダーである前に正しい人間であれ
編集部(以下色文字):リーダーが適切な意思決定をし、実行に移すためのベースには、リーダーとしての資質が欠かせないと思います。平井さんは折に触れてEQ(心の知能指数)の重要性を語られていますが、なぜ特にリーダーにはEQが必要なのでしょうか。
平井(以下略):リーダーとしての成功は、周りから人間としてどれだけ尊敬されるか、認められるかによって決まると考えています。それがなければ、「社長だから」「部長だから」言うことを聞け、というように、肩書きで仕事をすることになるからです。それでは周りは誰も、「この人のために頑張ろう」「信じてついていこう」とは思えなくなるのではないでしょうか。
私が社長を務めていた頃のソニー(現ソニーグループ)のように、経営が非常に苦しい時こそ、リーダーと部下は一枚岩になる必要があります。当時のソニーには約13万人の従業員がいましたが、全員に80%程度で頑張ればよいと思われてしまったら、そこでおしまいです。変革など起きません。部下に120%頑張ってもらうために、リーダーは「正しい人間」でなければならないのです。そうでなければ、どれほど素晴らしいことを語っても、物事は前に進まないでしょう。
「正しい人間」とは、どのような人ですか。
まず、人の話を聞き、自慢話をしないこと。朝令暮改ではなく一貫性を持って、最後まで責任を取る。部下が成功した時は自分の手柄にせず、反対に失敗した時は自分が責任を負う。そして、嘘をつかず、誠実で、発言したことを行動で示すなど、常識的に考えて正しい行動を取れるような人です。
私がリーダーこそ正しい人間であるべきだと気づけたのは、自分がたまたまアウトサイダーとして組織のトップになったことが、大きく影響していると思います。