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短期間の業績改善が喫緊の課題になっている
アメリカでは、1999年から2006年にかけて、およそ10年だったCEOの平均在任期間が8年強に短縮した。なかには長期政権を握る者もいるが、在任期間が極端に短いCEOも多い。
たとえば、転職支援会社のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの調査によれば、2006年にはCEOの約40%が、平均わずか1.8年務めただけでその座を退いているという。そのうち、在任期間が短いほうの半数だけを見ると、平均在任期間は8カ月にすぎなかった。
このように短期間で辞めていったCEOのなかには、単に適性が乏しく、みずから身を引いた者もいる。しかしこれを除けば、たいてい「これ以上の業績改善は期待できない」という理由から引導を渡されていた。いま時、十分時間をかけておのれの腕前を披露する余裕などないといえよう。
そのため、CEOや事業部長に就任した者は、わずか数カ月のうちに、たとえば収益性の改善、市場シェアの拡大、競合他社との逆転など、何であれ、重点課題を達成する方法を見つけ出さなければならない。
しかし、どこから手をつけるべきかがわからないと、具体的な目標やアクション・プランなど立案できるはずがない。何しろ、どのような組織にも固有の強みと弱みがあり、また直面する脅威とチャンスも一つとして同じ組み合わせはない。とはいえ、これらの要素をすべて正確に評価する以外、どのような目標が適切で、どこに業績改善の努力を集中させるべきか、判断する手立てはない。
この種の診断作業はどこからでも手をつけられるだけに、いざ始めてみると立往生しかねない。たとえば、世界中に事業展開し、何千何万という社員や顧客を抱えている場合もある。はたして、このような社員や顧客との対話から始めるべきだろうか。それとも、業務プロセスを点検してみるべきか。あるいは、調達活動に注目すべきかもしれないし、製品ラインの分析が先かもしれない。
往々にして、顧客セグメントだろうが、サプライチェーンだろうが、委細かまわず、おのれの得意分野から手をつける。自社事業は現在どのような状況にあるのかを知るには、緻密さや正確さが要求されるが、そのような進め方では望むべくもない。
そうではなく、各事業の状況に臨機応変に対応できる、体系的かつ定型的な診断法こそ必要である。それも、少なくとも次の3つの基準を満たすものでなければならない。