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購買担当者ではなく
エンド・ユーザーに焦点を当てる
エンド・ユーザーが自社商品をどのように利用しているのかを正確に知るには、B2B企業の場合、はたしてどうすればよいのか。まさしくそれは、トムソンコーポレーションが懸命に答えを探していた問題であった。というのも、当社の商品を購入する人たちは、日常業務で利用している人たちと、必ずしも同じではないからだ。
我々トムソンにとっての回答は、市場調査はもとより、エンド・ユーザーが職場でどのように利用しているのか、その目で観察するなど、いくつかの顧客調査手法を組み合わせることだった。これら一連の調査は、フロントエンド顧客戦略の一部であったが、それが企業変革の基礎となった。
調査の一環として、当社の商品やサービスを使用する弁護士、会計士、証券アナリスト、ファンド・マネジャー、研究者、その他の専門家たちは何をしているのかを質問し、彼ら彼女らの活動を分刻みで把握した。
その後、その時々に生じるさまざまなニーズを対処するソリューションについて、システマティックに検討した。このおかげで、エンド・ユーザーの仕事にどうすれば貢献できるのか、その方法を知ることができた。もしこの取り組みがなかったら、知る術もなかったであろう。
このように詳細にわたってエンド・ユーザーを調べることは、当社が消費財メーカーであれば、とりわけ珍しいことではなかっただろう。プロクター・アンド・ギャンブルは実際、店舗内で消費者を追跡し、またキッチンの様子を観察することで知られている。
しかし、ほとんどのB2B企業同様、購買責任者に関する知識と比べて、トムソンのエンド・ユーザーに関する知識はないに等しかった。
たとえば、金融サービス会社のITマネジャーには、部門全体の購買決定権がある。我々はこの人たちについてはかなりよく知っていたが、当社のデータや調査、その他の情報源を利用して、クライアントのために日々投資判断を下しているトレーダーや投資銀行家一人ひとりについてはまったくの無知に近かった。
トムソンが改革に取り組み始めて、10年ちょっとになる。その当時、トムソンは創立70年を迎えようとしており、持ち株会社としての売上高は87億ドルあった。200種類の新聞の発行、教科書や法律書、専門誌の出版、またイギリスを代表する旅行会社を経営していた。