思考の限界を突破する12のAI活用エクササイズ
Illustration by Brian Rea
サマリー:生成AIは単なる作業効率向上ツールに留まらず、創造的思考を引き出す可能性を秘めている。従来の直線的な思考に基づくプロンプト入力では予測可能な結果に留まりやすいが、人がマインドシフトを実践することで、AIが... もっと見る未知の領域探索のパートナーとなり、新たな価値創出や飛躍的成果を得られる。本稿では、生成AIとともに、より幅広く革新的な結果を出すために脳を鍛える12の方法を紹介する。 閉じる

予測可能な結果を無意識に期待している人間の限界

 業務の改善、反復的作業の自動化、会議や顧客とのやり取りの要約、情報の統合などに生成AIを活用する方法が書かれた記事は無数にある。生成AIツールを使ってより効果的な、さらには空想的なアウトプットを得るためのプロンプトガイドが豊富に揃ったバーチャルライブラリーも多くある。一般的なデジタルツールの多くはすでに総合的なAIコパイロットを搭載し、文章作成やコーディング、デザイン、創作などあらゆる作業を魔法のように自動的に向上させ、完成させる。

 しかし生成AIは、すでに行われている作業を向上・加速させるだけに留まらない大きな可能性を秘めている。私たちはマインドセットの転換、つまりマインドシフトを正しく実践すれば、これらのツールの使い方を創造的に再考するために自分の脳を訓練し、AIファーストの世界でまったく新たな価値を引き出して飛躍的な成果を上げることができるのだ。

 ほとんどの人はプロンプトを入力する際、次の展開はこうなりそうだ、またはこうなるべきだという思考の枠組みの中に留まっている。

 たとえばグーグル検索では、最高のタイ料理店を「この付近」という条件で探す。あるいは絞り込まれた検索結果に基づいて、「中級ライダーに最適なダウンヒル用マウンテンバイク」などの具体的な条件を入力する。

 このやり方は、プロンプト入力にも引き継がれることが多い。そして結果(アウトプット)は、私たちが知っている世界に基づき、直線的な思考、調査、意思決定の道筋の上に築かれる。これは極めて正常で、効果的だ。実際に今日の生成AIモデルの大部分は、この方法で機能する。

 生成AIは、要求を理解して適切な結果を生成するために自然言語処理(NLP)に依存する。基本的には指示に基づいてパターンの認識と組み立てを行い、目の前のタスクを完了させるためのアウトプットを提供する。このアプローチは私たちの脳のデフォルトモード、つまりパターンを認識して効率性を追求するという方法と一致しており、短くて単純明快なプロンプトを好み、予測可能な結果を即座に得ようとする。

 ほとんどの人がこの方法で生成AIを使うのであれば、ツールがどれほど強力であっても、仕事や創造における「新たな現状維持」を無意識に招いてしまう。

 自分の思考、AIの能力に関する思い込み、予測可能な結果への期待──これらに対抗するための脳の訓練は、マインドシフトから始まる。AIを単なるツールではなく、イノベーションと未知の探索におけるパートナーとして認識するのだ。