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ソリューション販売はコモディティ化時代の要請
2001年、アメリカ政府や保険医療機関が価格圧力を強めるなか、GEメディカルシステムズ(現GEヘルスケア)は「パフォーマンス・ソリューションズ」という事業部門を新設し、画像診断装置とコンサルティングを組み合わせたサービスの提供を始めた。その目的は、患者の診療待ち時間を減らし、医療の生産性を高めるための統合ソリューションを開発し、プレミアム価格の取れるサービスを提供することである。
当時コモディティ市場では、多くの企業が差別化を図ろうとして、製品販売からソリューション販売へと転換を図りつつあった。GEヘルスケアの試みも、当初はうまくいくように思われた。新規契約の大半を2万5000ドルから5万ドルのコンサルティング・サービスが占め、パフォーマンス・ソリューションズは大きな利益を上げた。
くわえて、顧客である病院にも大きな恩恵がもたらされた。たとえば、スタンフォード大学メディカル・センターは、成人向け、小児向け、外来部門でデジタル画像診断システムを導入したことで、収入は数百万ドル増加し、また大幅なコスト削減も実現した。
ところが2005年頃になると、パフォーマンス・ソリューションズの成長率はいっきに落ち込む。その主たる原因として、セールス・レップ(営業委託先)が、コンサルティング・サービスの価値をうまく説明できず、抱き合わせ販売には至らなかったことが挙げられる。これらセールス・レップが、パフォーマンス・ソリューションズの営業担当者が顧客に接触することを嫌がったことも足を引っ張った。
またコンサルティング・サービスは、GE製の画像診断装置を使うことを前提としており、その場合にはたしかに魅力的なソリューションになるが、必ずしも顧客ニーズに応えたものとはいえず、しかも製品ポートフォリオに合わせて提案されるため、あってもなくてもよいものだった。
セールス・レップと有機的な連携を図り、包括的なアプローチによって顧客ニーズに応えるために、パフォーマンス・ソリューションズは再出発することになった。コンサルティング・サービスに特化し、GE製品以外も対象とした結果、2006年の新規契約額は5億ドルを超えている。
コモディティ化に直面した当初、GEヘルスケアは初歩的なミスを犯した。顧客の視点を忘れてしまったのである。顧客が抱える問題を解決するといっても、自社製品を利用していることを前提に置いてしまった。その結果、「ばらで購入するよりも、一括購入したほうがお得ですよ」という提案に終始することになった。
私はこの5年間にわたって、コモディティ化の波にさらされながらも、売上げと利益の成長に努力している企業を調査してきた。そして、多くの企業が共通の問題を抱えていることを突き止めた。