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CFOはいかにシナリオ立案を見直すべきか
CFOの役割は、伝統的な財務管理をはるかに超えるものに進化してきた。今日のCFOは極めて重要な戦略的リーダーとして、3つの中核的任務を持つ。すなわち資本の最適な配分と、競争優位の源の維持と深化、そしてリスク管理だ。こうした役割の拡大ゆえに、CFOがCEOの候補となるのは自然なことだろう。2023年にフォーチュン500とS&P500の新任CEOの8.4%が元CFOだった。これは、これまでで最も大きな割合だ。
CFOは、みずからの職務を有効に遂行するため、全社的な視点を持たなければならない経営幹部の一人として、リスク管理が最も重要な任務になってきたことを体感してきた。実際、企業が現代の複雑な経営環境や地政学を乗り切る上で、リスク管理の重要性はどんどん増している。
CFOがリスクを管理し、新たな価値創造の機会を戦略的に捉える主要ツールとして、シナリオ立案が活用されることが増えている。シナリオ立案は、潜在的なダメージに備えるだけではなく、戦略的なチャンスが到来した時、組織が行動を起こすとともに、長期的な戦略とビジョンへのリスクを軽減することを可能にする。筆者らの会社が最近開いたCFO夕食会で、ある出席者は、かつてのCFOは「何かをするな」と警告する役割だったが、いまは何かをするよう促す役割になったと語った。
物事が急速に変化し、複雑性を増す現代において、CFOが優れた役割を果たすためには、伝統的なシナリオ立案を見直す必要がある。筆者らはグローバルな事業を動かし、主要企業に助言してきた経験から、以下のアプローチを推奨したい。
有効なシナリオ立案は厳密で部門横断的である
まず、シナリオ立案は頭の中だけでの作業ではなく、会社の戦略的枠組みに深く統合されており、脆弱性を特定し、さまざまな商品や市場の財務リスクと事業リスクへの対応を簡潔に説明している必要がある。
こうした厳密な分析は、新市場への進出など、大規模な設備投資を検討する時とりわけ重要になる。有効なシナリオを立案するためには、CFOが、潜在的な利点(新しい市場の需要をつかむなど)と、マイナス面(地政学の変化や、サプライチェーンの脆弱性、規制の変更など)を高度に理解する必要がある。そのためには、次のような問いをする必要がある。
・我が社のエクスポージャーの決定的に重要な要素(財務、実務、規制、戦略)は何か。
・明白な売上げやサプライチェーン、財務のエクスポージャー以外に、主要資産(人材、知的財産権、物的資産など)のエクスポージャーをどのくらい深くまで検討する必要があるか。





