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多くの経営幹部がAIを「本物」と捉え始めている
企業は何十年もの間、意思決定にデータを取り込み、統合することに苦心してきた。長年の努力にもかかわらず、結果はまちまちだ。2024年、データ品質向上の取り組みが成功したと答えた企業は、わずか37%だった。しかし最近、重大な変化が起きている。生成AIによって、データ品質と幅広いデータの能力に対する関心と投資が高まっているのだ。結局のところ、優れたAIは優れたデータに依存している。経営幹部が、こうした取り組みへの投資を「単なるデータプロジェクト」と切り捨てる時代は終わった。企業はいま、AIで成功するためにようやくデータの取得に本腰を入れている。
これは、筆者が2012年に初めて実施した、フォーチュン1000およびグローバル企業のリーダーを対象とした「2025年AI&データリーダーシップ・エグゼクティブ・ベンチマーク調査」の主な結果である。
2025年の調査は、教育系のデータ・アンド・AIリーダーシップ・エクスチェンジが、データおよびAIリーダーのグローバルコミュニティであるデータIQとともに実施した。招待者限定の回答者は大手企業125社のシニアリーダーで、2025年の調査回答者の97.6%は、組織の経営幹部レベルのエグゼクティブ、あるいはそれに相当する地位にある。
彼らの回答が浮き彫りにしているのは、AIがこの1年で、企業のアジェンダを全面的に推進するようになっていることだ。機械学習など初期のAIを3年以上使用しているとほとんどの組織(76.2%)が回答したが、AIの活用と導入の急速な拡大に拍車をかけたのは生成AIの登場だった。2025年の調査結果は、私たちがいま、1990年代のインターネット創設に似た一世代に一度の変革の瞬間を経験していることを示唆している。
しかし、おそらく最も驚くべきことは、2025年の調査結果においてテクノ楽観主義がいかに優勢かということだ。偽情報、誤情報、解職の可能性、倫理的バイアスのリスクなどの懸念があっても、96.6%の組織がAIの全体的な影響は有益であると考えている。実際、2025年は多くのリーダーが、AIは「本物」であると確信したようで、AIはこの時代で最も革新的なテクノロジーになるとの回答は、2024年の64.2%から89.0%に増加した。
2025年のリポートの主なポイントは以下の通りである。
AIとデータに対する企業の投資が拡大している
まず2025年の調査では、企業のAIおよびデータの取り組みへの全体的な投資がほぼ全世界で増加していることがわかった。これは、AIとデータが最優先事項であると回答した組織の割合が増えていることからも理解できる。AIとデータへの投資を増やしていると98.4%の組織が回答し、2024年の82.2%から増加した。さらに、AIとデータへの投資は最優先事項であるとの回答は、87.9%から90.5%に増えた。
組織はAI投資によるビジネス価値を得ている
フォーチュン1000のほとんどの企業にとって、AIへの取り組みは初期段階にあるものの、93.7%がAI投資から何らかのビジネス価値を得ていると回答している。顧客の獲得と維持の増加、顧客満足度の向上、収益と生産性の向上などの指標で測定できる、定量化可能なビジネス成果が得られているということだ。そのリターンには幅があるが、共通して加速傾向にある。
これらの企業のうち、測定可能な高いレベルのビジネス価値を得ていると18.1%が答え、ビジネス価値が急速に高まっていると28.3%が答えている。こうした定量化可能な指標に基づき、ビジネス価値のレベルは大きくはないものの、急速に高まっていると答えたのは32.3%だった。企業は、測定可能なビジネス成果の量と範囲を拡大するため、AIの適用拡大に引き続き積極的に取り組んでいる。
この価値の源泉が重要で、生産性の向上と顧客サービスの改善、特に従来の生産プロセスへの生成AIの適用による効率化からもたらされていると74.8%が考えている。