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誰もがキャリアの見通しが立たない時代
筆者がともに仕事をした上級エグゼクティブのマリソル(仮名)は、長年かけて信用を築き、インパクトを生み出し、結果を出してきた。ところが、会社の組織再編で、彼女の役職が突然、廃止されてしまった。話し合いもなければ移行プランもなかった。少しの丁重な励ましと解雇手当、そして慎重に言葉を選んだメールが後から届き、それでおしまいだった。
だが、先の見通しが立たない中でマリソルは、ただ呆然とする代わりに自分でこの事態をコントロールした。信頼するメンターと連絡を取り、ネットワークを活用し、エグゼクティブコーチの指導を受けつつ、何年かぶりに一息つく時間を取った。そして、次にやりたいことをより明確に意識し、自分の専門能力をリブランディングして、長年磨いてきたすべてのスキルが評価される、より広範な人事職に方向転換した。
これは珍しい話ではない。レイオフ、賃金の低迷、AI主導のオートメーション化、労働法の変化、進化する職場の期待などによって、昨今、職の安定性は動く標的のように捉えがたいものになっている。とびきり熱意のあるプロフェッショナルですら、職の不安定性から逃れられず、毎月決まった給料を受け取る労働者も同様にその影響を受けている。
今日の真の課題は、ただ職にしがみつくことや、次の四半期を乗り切ることではない。混乱に直面しても崩れないキャリアを築くことだ。そのために必要なのが、キャリアのレジリエンスである。つまり、マリソルのように状況に適応し、みずから行動を起こし、たとえ足元がぐらついている時でも、落ち着きと平静を保つ能力だ。
キャリアのレジリエンスを高める4つの方法
キャリアのレジリエンスとは、不安から職にしがみつくことではなく、環境の変化に適応できるようになることである。
ドミニカ共和国で子ども時代を過ごした筆者は、残忍な独裁政権下を生き延びた祖父母との生活で、いつも十分な備えをするように育てられた。家には食料と非常用品が常に備蓄されていたが、それは妄想からではなく、確実に約束されたものは何もないという深い認識に基づく行動だった。
仕事においても、不確実な状況では自己認識とレディネス(準備が整っていること)が必要になる。限られた選択肢しかないと思える時でも、成長のマインドセットを育み、いつでも前に進めるように備えることだ。そのためには、次の4つの戦略が役に立つだろう。