多忙な人が限られた時間で「喜び」を最大化する5つの戦略
サマリー:多忙なビジネスパーソンが充実した人生を送るには、「達成感」「意味」「喜び」の3本柱が必要である。特に「喜び」は後回しにされがちだが、ハーバード・ビジネス・スクールの調査では、限られた自由時間に喜びを見... もっと見る出すことが、仕事のパフォーマンス向上に直結する好循環を生むと明らかになった。本稿では、同スクールのレスリー・パーロウ教授の研究に基づき、多忙な日々の中で喜びを最大化するための5つの具体的な戦略と、マネジャーや組織ができる支援策について解説する。 閉じる

人生のあらゆる段階で「達成感、意味、喜び」が必要

アリソン・ビアード:アリソン・ビアードです。

アディ・イグナティウス:アディ・イグナティウスです。HBR IdeaCastを始めます。

アリソン:アディ、個人的な質問をしますが、あなたの人生には多くの喜びがありますか。

アディ:それは非常に個人的な質問ですね。仕事の話をしましょうか。私は16年間『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)の編集長を務めていました。最近、エディター・アット・ラージという新しい役割に就いたのですが、それは仕事で編集長とは何か違うものが必要だったからです。以前はマネジャーとして多くの直属の部下を持ち、そして多くの責任を負いたいと考えていました。しかし、年を重ねるにつれて、仕事における喜びは、そのような権力ではなく、クリエイティブな仕事ができることであると気づきました。仕事では最近、間違いなく以前よりも多くの喜びを感じています。

アリソン:それはとても喜ばしいことです。そして、仕事に喜びを見出せるということにも感銘を受けました。今回のゲストは、非常に多忙で、野心的で、大きな成功を収めてきた人々を対象に多くの研究を行ってきた方です。彼女は、あなたが編集長として組織全体をマネジメントしていた時のように、仕事で喜びを見つけることが時に難しいと気づいています。そのため、自由時間に喜びを見つけることが必要であり、キャリアにおいては昇進を目指しているような時期でさえ重要だと説きます。そして、仕事に優先順位をつける必要があるような時、充実した人生を送るためには、常に3つの柱が必要だとしています。一つは「達成感」。これは100%必要です。次に「意味」。つまり友人、家族、仕事に見出す目的です。そして、「喜び」も必要です。真に満足するためには、常にそれらが必要となります。

アディ:では、人々が喜びを求め、見つける必要があるというビジネス上の理由はあるのでしょうか。

アリソン:もちろんです。限られた自由時間に喜びを見出せると、仕事においてもよい人間でいられます。より思慮深く、思いやりのあるマネジャーになり、より高いパフォーマンスを発揮し、生産性も向上します。それは間違いなく好循環をもたらします。彼女はハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の卒業生1500人を対象に、開発した「ライフマトリックス」というツールを使って調査しました。これは私たち誰もが利用できます。そして彼女は、キャリアで絶対的な成功を収めている人々が、非常に限られた自由時間の中でどのように喜びを見つけたのか、そしてその5つの方法について掘り下げました。彼女はそれらを説明してくれます。

 レスリー・パーロウはHBSの教授であり、HBRの記事「多忙の中に喜びを見出せる人は、どのように余暇を過ごしているのか」の共著者です。以下は彼女との会話をまとめたものです。

本稿は音声コンテンツ"Finding Joy When You Have Limited Free Time"のテキストを翻訳したものである。

喜びを見出すために、持っている時間を最大限活かす

アリソン:では、問いから始めましょう。これは愚かな質問に聞こえるかもしれませんが、特に多忙な成功者にとって、より多くの喜びを見出すことに関心を持つのは、なぜ重要なのでしょうか。

レスリー・パーロウ:喜びは私たちの日常生活にとって非常に重要です。多くの人が認識している以上に重要だと思います。私たちが発見したのは、人生のあらゆる段階で、ある程度の喜び、意味、そして達成感が実際に必要だということです。HBSで私が教えた学生たちは、まず達成感を持ち、次に意味、そして人生の後半で喜びを得られると考えがちです。しかし、実際には、自分自身の幸福のためには喜びを見つけることが極めて重要です。そして、仕事以外の人生でより多くの喜びを見つけることができれば、仕事に価値を見出し、職場ではより生産的な自分でいられることもわかっています。

アリソン:わかりました。では、喜びの定義とは何ですか。

レスリー:瞬間のポジティブな感情です。そして、私たちにとって重要なのは、それを感じることです。それは「幸福」という漠然としたフレーズではなく、むしろあなたがいま、その瞬間にポジティブな感情を経験しているということです。

アリソン:それをどのように測定するのですか。非常に主観的なものだと思います。ある人にとってポジティブな感情を生み出すものが、私にとってはそうではないかもしれません。達成感や意味を与えてくれるものと同じものに、あなたも喜びを見出すこともできますか。これらをどのように定量化するのですか。

レスリー:素晴らしい質問ですね。時間をどのように評価するかということを考えてみても、私たちは時間が生産的であるか、効率的であるか、効果的であるかを考えることには慣れています。そして、時間をよりよくマネジメントする方法に関しては、多くの研究があります。しかし、あなたは最高の人生を送っていますか。時間を最善の方法で使っていますか。それは私たち自身が実際に答えるのが難しい質問です。